はじめに
スマートフォンの発達でSpotifyやapple musicなどの台頭でサブスクで音楽を聞くことが主流となり、音楽プレイヤーを単体で持つことは音に拘りを持つ人以外減っているように思える。
あえて、音楽再生以外出来ないiPodを利用するのも平成レトロぽくて面白く感じたので修理できないか調べることとした。
iPodの中にある音楽のみしか聞くことのできないデバイスで旅先で音楽を楽しみつつ風景を眺めるのも趣があるなと感じ、よりiPod miniが欲しくなった。
iPod miniのみではBluetoothも搭載していないのでイヤホンも、もちろん有線のものが必要だ。
iPodの中でもiPod miniとiPod Classicのみバッテリーだけでなくストレージの交換も可能なようだった。
今回は、コストも抑えれるiPod miniをヤフオクかメルカリで調達することにした。
iPod miniの構造をさらに調べてみると、どうやらバッテリー(マイクロドライブ)とストレージの交換が可能な構造となっているようだった。
メルカリで電源のつくジャンクのiPod miniを格安で調達したので、修理(レストア)を試みることにした。
メルカリで購入して届いたiPod miniの状況は電源はつくものの、バッテリーがヘタっているのか充電はほぼできず、iPod自体もリカバリーをしないといけない旨の画面が表示され利用できない状況となっていた。
iPod miniとは
2004年1月から2005年9月まで生産及び販売されたappleの携帯音楽プレイヤーのこと。
iPad miniの誤植ではない。
小型のiPodの意味合いでiPod miniとなっている。
第1世代と第2世代の2種類と、カラーバリエーションが豊富で今でもフリマアプリやオークションサイトで見かけることがある。
カラーバリエーションは、第1世代がシルバー、ゴールド、ブルー、ピンク、グリーンの5色。
第2世代がシルバー、ブルー、ピンク、グリーンの4色となっておりゴールドは第1世代のみに存在する。
ストレージサイズは、第1世代が4GBのみ、第2世代が4GBと6GBの2種類がある。
見分け方は、第2世代のみ裏にストレージサイズの記載があるので4GBか6GBと書かれていたら第2世代となる。
MacOSならFinderでwindowsならiTunesで今でも初期化や音楽の同期が可能だ。
携帯型のミュージックプレイヤーとして利用できなくもない。
Bluetoothには対応していないが優先のイヤホンであれば問題なく利用できる。
車であればAUX端子または、iPod対応であればUSB端子に接続して使えるので修理すれば案外使い道がありそうだった。
修理部品の調達
交換部品は、amazonとAliExpressで探すこととした。
この手の部品は大抵はこの2サイトで手に入ることが多い。
探しているときに少し困ったのが、iPod miniで検索しても結果が、iPad miniになってしまうこと。
iPod miniはすでに終売から20年近く経過しており、検索エンジンにiPad miniのタイプミスと判断されてもおかしくはない。
検索方法を変えつつ、どの様な部品が今も手に入るのか確認しながら交換部品を探した。
交換バッテリー
iPod miniの発売からすでに20年経っていることもあって交換バッテリーの選択は以前より減っているようだった。
より安く調達したかったのでamazonでバッテリーの型番を調査した後、AliExpressで検索して探した。
iPod mini用のバッテリーをいくつか発見し予備を含めて2つ購入した。
リチウムイオンバッテリーな兼ね合いか航空便が使えないので届くまで3週間程度としばらく時間が掛かるようだった。
ストレージはCFカード互換
iPod miniのストレージはマイクロドライブと呼ばれる小型のハードディスクが搭載されている。
このマイクロドライブは、コンパクトフラッシュ(CFカード)と端子の互換性があり、これが功を奏してCFカード型のSDカード変換アダプターが利用できる。
CFカード型のSDカード変換アダプターは、古いデジタル一眼レフカメラのCFカードのスロットでSDカードを利用するのに利用することがあり、筆者も、1つ持っておりOLYMPUSのE-500で利用している。
今回は、iPod miniに内蔵してしまうため新規でAliExpressで調達することとした。
AliExpressを利用した理由は、同じと思われる製品が送料込みでもamazonよりもやすかったから。
数百円の差なのでAliExpressはちょっと言うことであればamazonでも全く問題ないだろう。
CFカード型のSDカード変換アダプターはAliExpressでも航空便が利用できるからか3日程度で届いた。
また、CFカードと基盤を接続するリボンケーブルもAliExpressで検索した限り調達が可能なようだった。(今回は購入してないので割愛)
iPod miniの分解とレストア手順
レストア(修理)にあたりiPod miniの分解の手順は、iFixitのiPod miniを参考にした。
分解とレストア(修理)の様子
iPod miniの構造は非常に繊細で各所注意しながら進める必要があった。
最初にiPod miniの上部HoldスイッチをHold状態にしてから作業を始める。
上下のパネルを外す
上下のパネルは接着剤(両面テープ)で固定されているのでドライヤーなどで接着剤を温めて頑張って剥がした。
ケースに傷がつかないようにプラスチックの薄い三角形オープナーを利用した。
開ける時に傷が手が滑って傷がつかないようにマスキングテープで保護した。
下部のほうが剥がしやすいので練習を兼ねてまずは下部を外した。
固定金具も外す。
都合2台iPod miniを分解したが上部パネルはしっかり接着剤(両面テープ)で固定されており剥がすのに時間がかかった。
力をいれすぎるとパネルが破損するので慎重に時間をかけて剥がした。
外したパネル達は再利用するので大事に保管。
クリックホイールと接続している端子を外す
ここまでどうにか順調だったが事件が発生した。
端子を外すのに失敗し、フレキシブルリボンケーブルの端子接続部のハンダを損傷してしまった。
結果的にフレキシブルリボンケーブルから端子が外れてしまい、復旧が不可能となってしまった。
壊してしまったものは仕方ないのでとりあえず、iPod miniの分解を優先し、基盤をケースから外す手順に進んだ。
写真を撮ったタイミングではかろうじてフレキシブルリボンケーブルに端子がくっついているがこのあと完全に外れてしまった。
ケースから基盤を外す
クリックホイールと接続している端子が外れていれば、下から上に向けて基盤を押すことで基盤がケースから出てくる。
もし、基盤が引っかかったとしても決してイヤホンジャックのある上部を引っ張ってはいけない。
必ず下から押しすこと。
イヤホンジャックのある上部を引っ張ると修復できないレベルで基盤が分離してしまうからだ。
クリックホイールは外さなくても良い
バッテリーとストレージを交換するときは、クリックホイールはケースから外す必要はない。
しかし、今回筆者は、クリックホイールのリボンケーブルを破壊してしまったので外す必要があったので外した。
外す際、クリックホイール表面とケースがこすれて傷がつきやすいため慎重に外した。
クリックホイールは、さらにネジと接続端子を慎重に外してリボンケーブルを外すことが可能。
部品を差し替える
SDカードは128GBのものを利用。
4GBだったストレージがより小型なのに32倍になるところも半導体の進化を感じる。
バッテリーは、今回購入したもののケーブルが元のものより若干太く取り回しに慎重になる必要があった。
端子の向きに注意しながら基盤へ接続する。
固定については、元のバッテリーやストレージを剥がしていたときについていたシールを再利用した。
ただし、しっかりと固定したかったので基盤からはみ出ないようにビニールテープも利用した。
CFカードSDカード変換アダプターからSDカードが外れないようにこちらもビニールテープで簡単に固定した。
基盤のままの状態でストレージやバッテリーの動作を確認する
基盤むき出しのままdockケーブルでPCと繋いで認識するか確認を行った。
この際、クリックホイールは接続しない方が良い。
ケースに収まっていない状態で接続するとリボンケーブル自体が弱く破損させる可能性が高い。
ストレージが認識するかの確認ではクリックホイールの操作は必要なく、リカバリーもPC側からの操作で可能だ。
クリックホイールの基盤接続用リボンケーブルを調達する
残念ながら、AliExpressでもiPod mini用のクリックホイールと基盤接続用リボンケーブルは販売されていなかった。
そこで再び、メルカリ、ヤフオクでジャンク品のiPod miniを探し移植することとした。
メルカリを探していると悲しくも筆者と同じくリボンケーブルを破壊をしてしまったiPod miniも部品取り用として出品されていた。
今回、筆者がほしいのはその破損しているリボンケーブルが完全なものなので他の画面が破損しているジャンク品を購入した。
クリックホイールの基盤接続用リボンケーブルを交換
届いたジャンク品のiPod miniを早速開封し分解作業に取り掛かった。
分解は、何故か2度目ということもありスムーズに進み今回は前回の教訓により、リボンケーブルの端子を破損せずに取り外せた。
リボンケーブルの端子を外すコツは決して力をかけすぎずにケースに向かって左右から精密ドライバー(-)で少しずつ端子を外すことだ。
ifixitではスパッジャーを利用している写真が掲載されていたが、端子が小さく慣れないとスパッジャーでは端子部がスパッジャーの影に隠れてしまう。
見えにくい中作業をした結果ケーブル自体に触れてしまい、筆者のような悲劇が起こったようだった。
明るいところで慎重にパーツを見定めて外すようにとの教訓を得ることになった。
リボンケーブルの交換
リボンケーブルの交換には、クリックホイールからも端子を外す必要がある。
こちらは過去、12インチのMacbookのCPUグリスを交換したい際に似たような端子を外した経験があったので難なく外せた。
クリックホイールはそのまま利用することもできたが、ボタンの印刷が本体ケースの色に合わせたかっためリボンケーブルのみを移植した。
リボンケーブルは銀色の金属パネルと一体化しているためこのパネルごと移植した。
iPod mini 4GB(大嘘)が復活
無事クリックホイールも問題なく稼働。
バッテリー、そしてストレージをフラッシュメモリの128GBのものに差し替え、iPod mini 4GBモデルではなくiPod mini 128GBモデルが手元に完成誕生した。
ストレージ容量は、なんと驚きの32倍。
筆者のPC内の音楽と同期しても10GB程度しかストレージ利用しなかっため残りの100GBほどは、ただただ容量が余っているだけとなってしまった。
iPod miniにはカスタムファームウェアもあるようなので気が向いたら色々と試してみようと思う。
利用した工具・部品達を紹介
工具の他、ドライヤーで接着剤を温めて剥がした。
熱を与えすぎると部品が変形するのでほどほどに。
開封時に傷つけないために
スパッジャーやドライバー類
iPod miniの修理以外でも利用できるので一つ持っておくと便利。
iPod mini 交換バッテリー
発売から20年もあっていると流石に交換部品があまり選択肢がない。
amazon
AliExpress
CFカードSDカード変換アダプター
変換アダプターは、複数あり状況により相性があるようだ。
ネットの情報を見ると価格は少し上がるが、サンワサプライの製品が比較的安定しているようだった。
しかし筆者は、どうにかなるだろうと迷わず安いのを調達した。
amazon
AliExpress
結果的に筆者の環境では安物のCFカードSDカード変換アダプター でも安定して動作している。
内蔵するSDカードへあらかじめフォーマットをかけたのが功を奏したようだった。
筆者の環境は、M2 Mac miniでMacOSは15.4.1の環境でディスクユーティリティを利用してMS-DOS(FAT)へSDカードをフォーマットした。
iPod miniへ装着後finderでiPod miniを選びリカバリーを選んだらSDカードにファームウェアがインストールされ難なくiPod miniが起動した。
発売から20年ほどたった2025年で当時は存在しなかったarmのMacでも簡単にリカバリー作業ができることに驚いた。
SDカード
MicroSDカードとSDカードサイズへの変換アダプター付きのものでも問題なく利用できる。
キオクシア製品がコスパよくて入手しやすいのでおすすめ。
速度もClass10を満たしていれば十分だろう。
まとめ
今回は、発売から20年が経つiPod miniをレストア(修理)してみた。
この機種は構造が比較的シンプルで、バッテリーやストレージの交換がしやすく、復活させるにはうってつけのデバイスだった。
iPod Classicなどでも同様の改造が可能なようだが、本体価格がまだ高く、ジャンクで気軽に遊ぶにはやや敷居が高いため今回は見送ることにした。
平成レトロなガジェットを現代仕様にアップデートし、もう一度使えるようにする――その工程には、モノとしての魅力を再発見する楽しさがあった。
手を動かしながら修理することで、自然と愛着も湧いてくる。
もし手元に眠っているiPod miniや古い音楽プレーヤーがあれば、多少の前提知識は必要だが、是非レストアにチャレンジしてみてほしい。
壊れてもいいくらいの気持ちで触ってみると、意外な発見と楽しさに出会えるかもしれない。