はじめに
バンコク郊外にある「メークローン鉄道市場」をご存知だろうか?
「メークローン鉄道市場」は、線路上にびっしりと広がる市場を列車が通過する光景で有名な観光スポットだ。
バンコク中心部からは約70km離れており、鉄道やバス、ツアーなど複数のアクセス方法がある。
今回は、筆者が鉄道好きということもあり、実際にタイ国鉄のマハチャイ線とバーンレーム線を乗り継いでメークローン鉄道市場まで訪問 してきた。
途中の渡し船やローカル駅での雰囲気、メークローン市場での臨場感などを現地で撮影した写真を交えつつ「行き方と帰り方」を紹介する。
初めて訪れる人にとっては乗り換えが多く少し複雑に感じるかもしれないルートだが、鉄道の旅ならではの楽しさが詰まっている。
また、帰りはバスを利用して効率よくバンコク市内へ戻ることもできたので、その様子も合わせてまとめて紹介する。
メークローン駅で記念写真を撮る観光客たち
メークローン鉄道市場とは?
メークローン鉄道市場(以下、メークローン市場と)は、バンコク西方のサムットソンクラーム県にある鉄道沿いの市場で、列車が通過するたびに屋台のテントや商品が一斉に片付けられる光景で知られている。
その様子をひと目見ようと多くの観光客がカメラ片手に訪れることで知られている。
市場自体は地元の生活に根ざしており、生の魚や野菜などが並ぶ一方で、観光客向けの飲食店やカフェもあり、地元の人々の買い物の場としても利用されている。
メークローン市場へ訪れることがバンコク近郊のツアーに組み込まれていることもあり近くにある水上マーケットと合わせて人気の観光地となっている。
地元の人も利用するのか生の魚なども売られていた
メークローン市場までの行き方の選択肢
1. タイ国鉄を利用する(ローカル体験向き)
始発のタイ国鉄ウォンウィアン・ヤイ駅はバンコクBTSのウォンウィアン・ヤイ駅から徒歩10分ほど歩く必要がある。
行程としては、ウォンウィアン・ヤイ駅(バンコク市内) → マハチャイ線 → 渡し船 → メークローン線 → メークローン駅着となる。
タイ国鉄の車両は、非冷房のディーゼルカーで扇風機のみ設置されている。
空調がないため窓が全開で走行している。(雨のときは閉める)
停車時は少し暑さを感じるが走行時は風が入ってくるのでそこまで暑さを感じることはない。
筆者は、ウォンウィアン・ヤイ駅08:35発の列車で最初の乗換駅マハチャイ駅へ向かった。
途中乗り換えで徒歩と渡し船が挟まるが旅という意味においては充実した行程だった。
ウォンウィアン・ヤイ駅の駅名標
運賃
移動手段
運賃
マハチャイ線
10バーツ
渡し船
3バーツ
メークローン線
10バーツ
合計
23バーツ
※2025年9月現在
ウォンウィアン・ヤイ駅からのメークローン市場までの合計金額となるが、なんと23バーツで訪れることができた。
切符は、ウォンウィアン・ヤイ駅とバーンレーム駅でそれぞれ購入。渡し船の運賃は、乗船前にチケット売り場のような場所で支払う。
いずれも現金オンリーなので注意したい。
日本円に直しても110円程度でメークローン市場まで訪れることができた。
帰りも時間がかかっても同じ経路の場合は、逆の手順を踏むことでバンコクまで戻れる。
ただ、メークローン線が1日に4往復(8本)しか走っていないため、メークローン市場に列車が到着する瞬間を見学するとなるとかなりの時間列車を待つことになってしまう。
金額は安いが、時間がかかる経路となるのでメークローン市場を列車が通る様子を見学するだけであればツアーに参加したほうが帰りの経路を考えなくてもよく手軽に楽しめる。
狭い市場の中を進むメークローン線の列車
乗車時間と所要時間
移動手段
乗車時間
マハチャイ線
約1時間
渡し船
3分程度
メークローン線
約1時間
乗車時間合計
約2時間
他に乗り換えの徒歩(15分程度)や出発までの待ち時間(20分程度)も含めると
所要時間としては、約2時間40分程度かかる。
この行き方、アクセス方法を使う魅力は、ローカル列車ならではの魅力と不便さを体験するのものなのでカジュアルな観光ではあまりおすすめしない。
[ ::w500alt=始発のウォンウィアン・ヤイ駅のホームも屋台が並ぶ]始発のウォンウィアン・ヤイ駅のホームも屋台が並ぶ
行程例
時刻
駅
手段
所要時間
08:35発〜09:28着
ウォンウィアン・ヤイ / Wongwian Yai 〜 マハチャイ / Maha Chai
4305列車
約1時間
マハチャイ渡し船乗り場
徒歩
7分程度
マハチャイ〜ターチャローム桟橋
乗船
3分程度
ターチャローム桟橋〜バーンレーム駅
徒歩
10分程度
10:10発〜11:10着
バーンレーム / Ban Laem 〜 メークローン / Mae Klong
4383列車
約1時間
※2025年9月現在
2. バスやミニバンを利用する
バンコク市街地を走るミニバス
出発地点
エカマイ / Ekkamai バスターミナル(東バスターミナル)・チャトゥチャック/ Chatuchak バスターミナル(北バスターミナル)、サイタイマイ / Sai Tai Mai バスターミナル(南バスターミナル)などから発着しているようだ。
メークローンに近いのは、南側のため南バスターミナルを利用すると渋滞に巻き込まれにくいかもしれない。
ただし、南バスターミナルはタクシーや路線バス以外で行くことが難しいので注意したい。
最寄りの鉄道の駅は、SRT レッドラインのタリンチャン / Taling Chan駅だが、徒歩での距離にして40分、約3km離れている。
ここで乗れるのはロットゥーと言うバスと言うよりは、乗り合い式のミニバス・バンのこと。
人数が揃い次第出発するスタイルなので時間が定まっているわけではない。
筆者が帰りに利用した、チャトゥチャックまでのミニバスは、時間が定まっていた。
運が良ければすぐ出発でき、運が悪いと一向に出発できないためかなりの上級者向けの手段となる。
運賃・料金
簡単に調べた限りだが、60〜100バーツ程度と少し変動があるようだ。
筆者が、チャトゥチャックまで乗車した際は100バーツだった。
乗り方や車内環境
メークローン / Mae Klongと書かれたチケットカウンターでメークローンへ行きたい旨を伝え金額を聞きお金を払う。
乗り方は簡単に教えてくれるので指示にしたがう。
車両は、普通のハイエースのような版や日本のマイクロバスのような車両なのでパーソナルスペースは狭い。
窮屈な移動となりやすいので快適さを求めるならツアーに参加するのがおすすめだ。
3. タクシーや配車アプリ(Grabなど)
お金がいくら掛かってもよいということあればドアツードアで便利なタクシーやGrabなどの配車アプリで向かうことも可能だ。
Grabなどの配車アプリの場合は、帰りに車が見つからないリスクもある。
家族やグループでのチャーターできるツアーもあったりするのでこの手段を使うくらいならツアーをチャーターしたほうが楽しめると思う。
4. 現地ツアーを利用する(手軽に訪問するなら)
線路の両脇に市場がある
一番手軽にメークローン市場の観光を楽しめる方法。
ダムヌンサドゥアック水上マーケットとのセットツアーが多いようだ。
当サイトでもおなじみの Klook や KKday などで手軽に予約ができる。
ツアーなので時間効率もよくガイドが付いているといろいろと知れるのと帰りのことを気にしなくて良い安心感と言うメリットがある。
実際に鉄道で行ってみた
マハーチャイ線でウォンウェンヤイ(ウォンウィアン・ヤイ)駅からマハーチャイ駅まで
ウォンウェンヤイ駅の様子
朝8:00頃、BTSのウォンウェンヤイ(ウォンウィアン・ヤイ)駅に到着し、徒歩でタイ国鉄のウォンウェンヤイ駅へ移動。
10分もかからず到着した。道中、地下鉄工事により歩道橋が撤去されていたが、人の横断用の通路があり警備員が横断を制御していたので安心して歩けた。
タイ国鉄のウォンウェンヤイ駅には屋台が並んでおり、朝食にタイ風焼きそば(辛め)とレッドブルを購入。
列車に乗り込み、車内で朝食を楽しみながら出発を待った。
マハーチャイ駅までの切符は10バーツと非常にリーズナブル。
朝食をホームの屋台で購入
9:30頃、マハーチャイ駅に到着。徒歩で渡し船乗り場へ移動した。
従来の渡し船乗り場は工事中だったが、右奥に臨時のテント乗り場があり、3バーツを支払って乗船。所要時間はわずか3分ほどであっという間だった。
渡し船のチケット売り場
渡し船の様子
バーンレーム駅近くの渡し船の乗り場 駅からは徒歩10分ほど
メークローン線でメークローンへ
渡し船を降り、5分ほど歩いた場所にバーンレーム駅がある。
10バーツでメークローン駅までの切符を購入し、列車に乗車。所要時間は約1時間。
タイの郊外の素朴な風景を眺めていると意外と1時間もあっという間だ。
途中で駅ではツアーの観光客がメークローン線乗車体験のために乗り込んできて少し車内が賑やかになる。
いよいよ終盤のメークローン駅到着直前には列車は速度を落とし、ゆっくりと市場の上を進む。
両脇には大勢の観光客がカメラやスマートフォンを構えて思い思いに撮影していた。
バーンレーム駅への案内を示す道路標識もあった
のんびり車両へ向かったら良い感じの席は座席にクッションがないタイプの車両しか空いてなかった
メークローン市場での体験
メークローン駅に到着後は、列車の折り返しに備え、椅子を確保できる簡易カフェ(飲み物販売所)を探してポジション取り。
コーラを50バーツで購入し、列車通過の瞬間を撮影しながら、市場の様子をゆっくり観察した。
列車の到着した直後はメークローン駅からメークローン市場へ向かう通路は観光客でごった返していた
目と鼻の先を列車が走る
ツアーの観光客が去った後は、市場とメークローン駅周辺を散策。
ローカルの雰囲気や売られている商品を楽しみつつ、バンコクへ戻るためサムットソンクラーム・バスターミナル へ移動した。
バスターミナルまでは徒歩7分ほどで到着。
バスターミナル内にも商店があり便利だ。
トイレもあるが、利用には5バーツ必要だ。
洋式の便座ではあるが、桶で水を汲んで流すタイプとなっている。
トイレットペーパーは無く、代わりに東南アジアウォッシュレットがある。
バスターミナルに停車中のミニバスの様子
バスでバンコク市内へ
サムットソンクラーム・バスターミナルでは、チャトゥチャック市場周辺のBTS・MRT駅付近まで行くミニバスに乗車。
行き先をもう少し詳細に伝えれば他のミニバスも案内してもらえそうだった。
運賃は100バーツで、所要は約90分ほどかかった。
途中、高速道路の料金所とバンコク市内で渋滞があった。
バス下車後は、チャトゥチャック市場付近やMixt Chatuchakで散策を楽しみ、ホテルへ戻った。
鉄道とバスを組み合わせた今回のルートは、効率的かつローカル体験も満喫できるルートだった。
一方で、列車には冷房などはなく、乗り継ぎでは乗り遅れないように時間管理が必要なので、メークローン市場の列車が通過するシーンだけを体験したいならツアーで訪れたほうが手軽で快適だろう。
帰り方の選択肢
ここまでの説明で多くの人はツアーが楽だなと考えているかもしれないが念の為、帰り方も説明する。
基本的には行き方の逆順となる。
筆者は行きは鉄道で訪れ、帰りはチャトゥチャック行きのミニバスを利用した。
このように 行きは鉄道・帰りはバス と組み合わせると、時間効率もよくおすすめだ。
鉄道で戻る
行きと同じルートで鉄道で戻ることもできる。
いわゆる終電は、メークローン15:30発の列車となる。
メークローン線の車両
運賃
移動手段
運賃
メークローン線
10バーツ
渡し船
3バーツ
マハチャイ線
10バーツ
合計
23バーツ
※2025年9月現在
行程例
時刻
駅
手段
所要時間
15:30発〜16:30着
メークローン / Mae Klong 〜 バーンレーム / Ban Laem
4386列車
約1時間
ターチャローム桟橋〜バーンレーム駅
徒歩
10分程度
ターチャローム桟橋〜マハチャイ
乗船
3分程度
マハチャイ渡し船乗り場
徒歩
7分程度
17:35発〜18:26着
マハチャイ / Maha Chai 〜 ウォンウィアン・ヤイ / Wongwian Yai
4308列車
約1時間
所要時間合計(目安)
約2時間30分
※2025年9月現在
マハチャイの乗り換えで少し時間に余裕がある。
タイ国鉄のウォンウィアン・ヤイ駅からBTSシーロム線のウォンウィアン・ヤイ駅までは徒歩10分ほど。
ミニバンやバスを利用する
メークローン市場の近くにはサムットソンクラーム・バスターミナルがありそこからミニバスやバンが発着している。
適当なチケットカウンターでバンコクのバスターミナル名を伝えることでチケットを購入することができる。
ある程度人数が集まらないと発車しなかったりするため、需要のある時間に出発するのが無難だ。
時間が遅すぎるとバスが無く帰れなくなるので注意したい。
サムットソンクラーム バス ターミナルの場所
サムットソンクラーム・バスターミナル Google mapリンク
サムットソンクラーム・バスターミナルのチケット売り場
タクシーやGrab
バンコクまで距離があるためGrabの車を掴まえることができるか未知数だが、タクシーは見かけた。
メークローン線のメークローン駅への列車の最終到着が17:40。
市場も閉まってるであろうこの時間まで残る人がいるかは怪しいが戻る時間は注意してほしい。
訪問時の注意点
メークローン市場の列車通過は、1日にトータル8回ある。
多くの人は朝から夕方くらいまでに訪れることが多いようだ。
日が昇ってる時間でないと写真が撮りにくいのもあるだろう。
目と鼻の先を低速とはいえ列車が通過するので通過時は注意しながら楽しんでほしい。
列車が通過するとすぐに写真を撮ろうと観光客が再び線路上へでる
あっという間に市場の状態に戻る
まとめ
バンコクからメークローン市場へは鉄道・バス・タクシー・ツアーの4つの方法がある
鉄道利用は23バーツと格安だが時間がかかる
バスやミニバンは現地慣れした人向け
初めて訪れる場合や時間を効率的に使いたい場合はツアー利用が安心
今回は、実際にメークローン市場へ鉄道で行った記録と行き方の紹介を行った。
「行き方次第で旅の印象が変わる」スポットだった。
筆者は、もう一度行くなら次はツアーでも良いかなと思った。
初めて訪問するならツアーが安心だろう。
タイ国鉄の非冷房でローカルな列車を体験したいなら入門編としてはおすすめの路線である。
タイ国鉄の車内では飲食(お酒は禁止されている)もできるのでいわゆる鉄道旅を楽しめる点では大満足な行程だった。
ツアー以外で訪れるなら行きと帰りで鉄道とミニバンの組み合わせで訪れるのが時間的にも体力的にも程よいと思う。